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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)175号 判決

上告人

(原告・控訴人) 山本早雄

被上告人

(被告・被控訴人) 佐賀県知事

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 栗山茂 小谷勝重 藤田八郎 池田克)

上告人の上告理由

一、イ、第二審判決は『控訴上二、2、イ、第一審判決は「原訴状攻撃、ホ、決定表示に要する法定期間六十日を経過したる理由を疏明せよ、この経過により生ずる一切の損害を賠償せよ。」に対し何等判示されていないのは第一審裁判所の重大失態である。

この儀大事につきよくよく御勘考の上善断あらんことを切望する。』及「控審準備書面第一号、1、攻撃、ホ、主張、控審準備書面第二号主張、控審準備書面第三号四、1、攻撃、イ主張」に対し、何ら疏明されず地方税法第七六七条滞納処分規定、民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定違反判決である。

ロ、第二審判決は控訴状二、2、ロ「地方税法第七百六十四条第十一項は事業税賦課に対する異議申立又は出訴があつても、事業税に係る地方団体の徴収金の徴収は停止しない」と明定している。この「徴収金の徴収」に強制徴収を包含せしめた第一審判決は明らかに不当である。

何故ならば『この「徴収金の徴収」に強制徴収を包含することは「憲法第三十条国民は法律の定めるところにより、納税の義務を負う」の規定即ち徴税法定主義違犯である。詳言すれば県は法律明文の限度に於いてのみ課税権徴税執行権を有し法律明文を拡張して課税し徴収執行することを得ず。

亦本規定が救済規定であることから強制徴収を認容することは断じて不可である。

この「徴収金の徴収」に強制徴収即ち滞納処分を含まざることは「地方税法第七百六十七条第九項に第二項の規定による異議の申立又は第七項の規定による出訴があつても処分の執行は停止しない」と強制徴収即ち滞納処分のことを、処分と規定していることで明らかである。』及び「控審準備書面第一号四、1、攻撃、ロ、主張、控審準備書面第二号主張控審準備書面第三号四、1、攻撃のロ主張」に対し何ら疏明されず 憲法第三〇条納税の義務規定及地方税法第七六四条違法又は錯誤に係る事業税の賦課等の救済規定並びに民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定違犯判決である。

ハ、第二審判決は『控訴状二、2、ハ債権(課税の当否、税額、納期限、即ち徴税執行権)未確定の儘、滞納処分(即ち督促状交付財産差押)することは、民事訴訟法第四九七条違犯である。亦法治国民の通念に違犯する。即ち督促状(延滞金「過料」行政処分税額財産差押宣示)が成立しないからである。依つて前記「ロ及び本項」に依り「原訴状攻撃二、被告の決定通知甲第九号証却下理由は異議申立書に対し、何等疏明されず、成立せず、不法決定である」に対する判示は明らかに不当である。この儀重大につきよくよく御勘考の上善断あらんことを切望する』及び「控審準備書面第一号四、1、攻撃、ハ及びニ主張、控審準備書面第二号主張、控審準備書面第三号四、1、攻撃、ハ主張」に対し、何ら疏明されず、民事訴訟法第四九七条終局判決による強制執行規定及同法第一四〇条擬制自白規定違犯である。

ニ、第二審判決は『控訴状二、2、ニ第一審判決が「原訴状攻撃イ」、原告が発した所の別紙甲第二号証申入れに対し、被告が回答不能なるは、不法督促の証拠であるに対し、何等判示されざるは第一審裁判所の重大失態である。この儀大事につきよくよく御勘考の上善断あらむことを切望する。』

『「原訴状攻撃ロ、ハ」の原告主張に対し何等判示されざるは、第一審裁判所の重大失態である。この儀大事につきよくよく御勘考の上善断あらむことを切望する』及「控審準備書面第一号四、1攻撃、イ、ロ、ハ、主張、控審準備書面第二号主張及控審準備書面第三号四、1、攻撃、ニ、主張」に対し、何ら疏明されず、民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定違犯判決である。

ホ、第二審に於いて、控訴人原告の控訴状準備書面第一号、第二号、第三号計四回の攻撃阪禦に対し、被控訴人被告は、答弁書を以つて単に原判決によると応じたのみで、何ら攻防疏明するなし。

而して、被控訴人被告の答弁書主張は控訴人原告の準備書面第二号主張に依り、完全に敗れ成立せず、その後亦被控訴人被告より何ら攻防するなし。

依つて、被控訴人被告は民事訴訟法第一四〇条に依り擬制自白したるものと看做すべきである。

然るに第二審判決は右の事実及民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定に対し、何ら疏明せず、逆に本告の主張を理由なしと判示したるは憎悪すべき不法判決である。

ヘ、第二審判決は『控審準備書面第三号四、1、攻撃、ヘ、本年十月廿三日本審口頭弁論に於ける裁判所主張「被控訴人被告は準備書面を提出するを要せず」は、民事訴訟法「第二四二条準備書面の必要規定及同第三七七条口頭弁論規定第二項当事者は第一審に於ける口頭弁論の結果を陳述するを要する」を疏明せず不当主張である。速かに口頭弁論再開の上善断されるよう申立てる』に対し何ら疏明されず不法判決である。

ト、第二審判決は「控訴状四、2、主張及び控審準備書面第一号、四、2、防禦主張、原審準備手続結果陳述準備書面四、2、防禦、ロ、主張(就中原審準備書面第二号四、2、防禦の記、ホ被告の却下決定に関する県会議事録謄本を提出せよ)控審準備書面第二号主張控審準備書面第三号四、2、防禦、ロ、主張」に対し、何ら疏明されず民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定地方自治法第九六条議決事件規定違犯判決である。この儀大事につきよくよく勘考の上善断相成りたく切望する。

二、攻撃防禦の方法

1 本上告状三、2「其の判決に対し上告を為す旨の表示並びに上告理由」主張の通り攻防する。

2 控訴状及控審に於ける全準備書面攻防並に原訴状及原審に於ける全準備書面攻防を法律の通り確認し再び茲に主張する。

3 本上告状御受理の上は上告理由書準備書面に依り主張する。

三、相手方の請求及攻撃又は防禦の方法に対する陳述

相手方の主張を聞いた後陳述する。

四、附属書類

省略

五、其の他重要事項

1 控審本告は主張の通り主張する。

2 本上告状につき、最高裁判所に於いて、本告の主張に不備のかどある場合は、直ちに却下決定、棄却の判決あることなく、一応補正命令若しくは疏明請求をされ本告に疎明の機会を与そられ民をして、無告に陥らしめることなき様特に切望する。

この儀大事につきよくよく勘考の上善断あらむことを切望する。 以上

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